北島寛さんという写真家の「日々常々」を買った。
有山達也氏がアートディレクションだったことで気になって買った。息子が写真家の北島明氏だということを後から知る。というか北島明氏を知らなかった。
いい意味で滑稽な写真集。昭和中期の生活を切り取ったスナップ写真群なのだが、これまで接してきたその年代の写真とは雰囲気がまるで異なる。戦後の生活を切り取ったスナップ写真と言えば出てくるのが、まずは東松照明氏。そして奈良原一高氏。彼らに共通しているのは、激しさというか視線の厳しさ。沖縄、長崎、軍艦島という歴史的背景のある場所を選んできたのもあるかもしれないが、彼らの視線からは確固たる強さ、眼差しの厳しさがほとばしっている。写真集一冊見終わる頃にはこっちも疲労困ぱいなのです。
「日々常々」にはそんな気負いが全くなく、ただただ面白い、構図が面白い、状況が面白い、顔が面白い、そんなゆるい写真が連なっている。作者の意志や気負いが過剰でない作品は、みてて気が楽だ。だからこちらにも感じたり考える余裕ができる。
「死」宮崎学 写真集が復刊されているのを知って即購入。ずっと欲しかったけど絶版でなかなか手に入らなかった。
死の定点観測。野生動物の死後直後から腐敗し分解され食べられ自然に帰っていく様子を最小限の説明テキストと日付とともに綴った死体の記録。血にそまった生肉が皮の裂け目から覗く、ウジにあふれた真夏の死体、こちらにまで漂ってくる腐敗臭、目を背けたくなるような写真が続く。夏の死体は数日で自然に帰される。そして季節が変わり真冬の定点観測では、死体は雪の中ではいつまでも姿を崩さず凛としている。冬の死体には美しさすら感じる。
復刊にあたって追記されたと思しき作者本人による後書きに、エコロジーという言葉があったのが印象深い。言葉の意味を思い出してハッとした。昨今の濫用で、エコロジーという言葉がまるで何かの枕詞のように感じていたが、本来はこういうことだったよなー。そうだそうだ。
こういうことを素晴らしい仕事というんだな。
「(500)日のサマー」観た。来年度から、娘が入る予定だった区の認可保育園への審査が落ちて、今年一番の落ち込みが来たところの気分転換に観に行ったのだけど、本当に気分転換できました。ありがとう。
素晴らしかったな。すべてのヘタレ男子に送るわ。女子はこういう子を目指せば全ての男子(ヘタレ限定ですが)イチコロだと思われます。だいたいスミスをヘッドフォンで聞いてたら「スミス、好きよ!」なんて気づいてくれる女子なんて素敵すぎる。そんな女子、いねーって!そんな女子、岐阜にはいねーって!
地方でクイーンイズデッドのVHS通販で買って「うわっ!これ監督デレク・ジャーマンなんだ〜!」とか一人モンモンとしていた世代にはキャッチーすぎる導入ですよ。
で、ただ単純にオサレで可愛くてサントラも良くて〜みたいな映画じゃなくて!ともするとそういう、いちオシャレ映画に着地してしまいそうなモンですが、この映画それ以上の大事なものが詰まってました。ポイントがグリーティングカードってのがこれまた絶妙な感じで。こそばゆくなりそうでならないバランス感なのです。
とかいって完全盛り上がってるけど、どうなんだろ。。そんなことないか、いや、あるか。。
スミスの時点で完全ノックアウトされてるから正直何も分かりません。
サントラ欲しい。